病気とはふだんの行いが起こすもの

病気とはふだんの行いが起こすもの

免疫革命は、それまで原因をとらえることができなかったがんをはじめ、難病とされる生活習慣病の発症のメカニズムを解明しました。そのいちばんのポイントは、人間という生物を、生命のシステムとして把握したことにあります。部分を取りだしていかに微細に分析し、かつ精密に追究していっても、たどり着けないところがあるのです。モノをただそのモノとして切り離して考えることからは、よい結論は得られません。

リンパ球も頼粒球もわれわれの身体の部品、つまり構成しているモノですが、交感神経、副交感神経はシステムです。つまり、自律神経系というシステムの傾向が気質を形づくっていたのです。

システムというとなにやらむずかしそうに聞こえますが、物語といいかえてもいいでしょう。お話です。人間にいたる生命が、8億年かけて進化してきた物語。それを語るためには、その生き物はどういうものか、生きようとする力、エネルギーはどこからきているのか、生きるためにさまざまなレベルで形づくっている関係はどんなものか、それをはっきりさせなくてはなりません。そして現段階の私たち人間の身体に起こっていることを語っていくのです。

私はこれが統合的医療に求められる視点だと思っています。現代医療には輝かしい功績があります。抗生物質の発見によって多くの死者を出していた感染症を克服しました。また麻酔や無菌技術を完成させ、手術を安全に行うことができるようになりました。大事故等で亡くなるしかなかった人がこれでずいぶん救われました。これらは評価してしすぎることはありませんが、光の届かない部分を残しているのも事実です。

それががんをはじめ、難病といわれる原因不明のいくたの病気です。「病気とは何ですか?」という素朴な問いに対して、私は「病気とはその人の行いが原因で起こるものです」、あるいは「進化する過程で手に入れた機能を使いすぎるとき、または使わなすぎるときに起こるものです」と答えます。

現代人を悩ませている難病は、遺伝子の異常や外部からのウイルス等に原因があるのではありません。バランスシステムの限界を超えるストレスから起きているのです。長いあいだ続く深い悩みや働きすぎによるストレスが、自律神経系というバランスシステムの限界を超えて加わったときに起こる、システムを構成しているモノの暴走が原因だったのです。

目を覚まし1000倍に増えるリンパ球

風邪にまつわるいいならわされた言葉が多くあります。「風邪は万病のもと」「子どもの風邪は3日で熱がさがる」風邪を侮ってはならないが、過敏になりすぎてもいけないという戒めです。「馬鹿は風邪引かない」という頑強な人をからかう言葉もあります。「目病み女に風邪引き男」となると、色っぽい風情の引きあいに出されています。一生のあいだにつきあうことになる病気では、風邪ほどなじみのあるものはないでしょう。

朝起きるとなんとなくからだがだるい。熱っぽさがあって、いつものように元気よく家を出る気力がない。人生系のドラマでは、こんなふうにして風邪ははじり出す。大事な会議のあいだ中たれてくる鼻水が気になってできなかった
り、せっかくデート体のにつやつや構出てくる水準かすれ、鼻の頭だけ出粧が落ちて赤く擦りむけてしまった、といった悲喜劇も起こります。生命系のドラマでは、このとき何が起こっているのでしょうか。

私たちは、自覚できる症状が出たときに風邪にかかったといっていますが、実際はその数日前にウイルスに感染しています。ウイルス感染の病気には潜伏期間があります。ウイルスと闘うのはリンパ球ですが、ふだんはリンパ球はほとんど核しかない小さな姿で休眠しています。マクロファージから抗原が侵入したという連絡を受けると、リンパ球は目を覚まして細胞分裂をくり返します。

マクロファージは、サイトカインという高分子の物質を送って指令を出しています。小リンパ球のときには、細胞膜とほとんど核しかなかったのですが、この分裂の過程で細胞内器官を発達させ、大リンパ球になります。大リンパ球は休眠リンパ球の1000倍に増え、闘う準備が完了します。ここまでにかかる日数が潜伏期間です。

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